導入教育は10日間の全社員対象の研修を終えたMR職配属予定社員を対象に行なわれる。4月半ばから8月までしっかりと集合研修を受けたあと、新人MRたちは第一線へ旅立ち、プロフェッショナルMR集団の中でより実践的な研修を1ヶ月積むのだ。それでは実際のMR導入教育では、どのような教育が行なわれるのだろうか。
「まず医療の一端を担う者として、倫理観を身につけなければなりません」
大森さんと共にMR教育に携わる貞光美貴さんは、指導内容の第一に「倫理観」の醸成をあげる。「患者さんの“痛み”を理解すること。相手の立場に立って物事を考えられる“人間力”が必要なんです」
薬理学・薬剤学、薬事法、自社製品の情報など、MRとしての「知識」を身につけることも大切だ。「さまざまな知識を身につける必要があります。製品の有効性・安全性情報や、最新の医療情報、医療制度に関する知識がなければMRの仕事を始めることはできません」と大森さん。
続けて理系学部出身の貞光さんはこう語る。「“薬”や“医学”に関係ない文系や理系の学部出身者は、不利な面があるのでしょうかという質問を受けることが多いのですが、全く問題ないと思います。
実は私も自分が研修についていけるか最初は心配でした(笑)。導入教育では1から時間をかけて基礎をしっかりと身につけることから始まります。そして、出身学部に関わらずお互いに教え合い、励まし合いながら学び、研修が終わる頃には、皆が一斉にスタートを切ることができます。」実際に多数の文系や理系学部出身者が活躍するタケダMRは、医師が選ぶ面談したいMRランキングで、常に第1位を獲得している。
文系出身の大森さんも太鼓判を押す。
「その辺りは心配ありません。しっかりとカリキュラムが組まれていますから」
医師をはじめ医療関係者という“人”を相手にする仕事だけに、コミュニケーションやプレゼンテーションのスキルも欠かすことができない。10人の医師がいれば10の個性がある。すべての医療関係者とよりよい関係を築き、医療をサポートしていくのがMRの仕事だ。導入教育では模擬製品説明会でプレゼンテーションの方法を学ぶほか、MR経験豊富な教育者が扮する医師とのロールプレイングを通して、第一線でのスキルを学んでいく。
「4月から約5か月間の導入教育期間中、いかに新入社員がモチベーションを高く維持するか。その辺りも私たち教育者の腕の見せどころの一つです。教育期間終了時には皆に“最高点”のレベルまで成長してもらわなければなりません。時には第一線でのうれしかったことや失敗など体験談も交えながら講義をすることもあります。机上の空論ではなく、“リアリティ”を伴った話には、やはり皆、目を輝かせて耳を傾けてくれますね(笑)」(大森さん)
10月、新人MRとして第一線に飛び立ったあとも4回の若手MRの集合研修、さらに「循環器・糖尿病スペシャリストコース」など、より専門性を強化するさまざまな研修コースが用意されている。さらには、多くのMR支援システムが医薬情報活動をサポートする。
「ナレッジフォース」と呼ばれるノウハウ共有システムもその一つ。全国のMRが経験した成功体験について、成功につながったキーポイントやその際に利用した情報ツールなどがふんだんに紹介されている。MRは1人1台支給されるノート型パソコンでいつでもどこでもアクセスが可能だ。全国のMRの活躍を参考にし、自分の活動に取り入れることによって成功体験を積んでいく。ノウハウを独り占めするのではなく広く共有することで、全国のMRが一丸となって日本の医療に向き合っていく。タケダの社風が表われたシステムともいえる。
また、医療関係者から問合せが多い学術情報をQ&Aとしてまとめた「MONJU(モンジュ)」も心強いシステムだ。「文殊の知恵」からネーミングされたこのシステムは、MRのタイムリーな情報活動をバックアップしている。ほかにも全国レベルの研究講演会を全国各地でライブ中継で視聴できるTVシステムも、多忙な医療関係者に喜ばれるタケダ独自の仕組みとして定着している。そのことは、外部の調査会社が医療関係者を対象に実施したアンケート結果で「学術情報ならタケダMR」と高い評価を受けていることからもうかがえる。
それ以外にも、MR業務と直結するものではない、いわゆる“自己研鑽”に対してサポートをしてくれる制度がスタートした。英会話や秘書検定の取得など、さまざまなコースが用意され、自らが希望し受講する。“主体的にさまざまなことにチャレンジする姿勢”が人間として更なる魅力の向上に繋がり、ひいてはプロフェッショナルMRへの成長に繋がるものと期待しての支援だ。プロフェッショナル育成にかける社の精神は、今後も多くの医療関係者や患者さんの信頼を勝ち取っていくだろう。 |